「ゲーム障害(げーむしょうがい、Gaming disorder、ICD-11)」について、きちんと理解できていますか?
聞いたことはあるけど・・・詳しく知らないんだよね・・・
- 依存って?アディクションって?ネット依存と違うの?
- みんなどのくらいネット、ゲームしてるの?
- ゲーム依存すると脳の中はどうなるの?
- ゲーム障害になるとどういう症状が出るの?
- ゲーム障害はどうやって治療するの?
このような疑問を持つメディカルスタッフ・コメディカルに向けて、いま押さえておきたい「ゲーム障害」の基礎知識を図解でまとめ、ざっくり解説していきます。
では、よろしくお願いします。
この記事では、次の疑問等を解説しています。
- ゲーム障害とは?
- ゲーム依存の脳内変化
- ゲーム障害の症状
- ゲーム障害の治療

こんにちは!
えまかたん(@_emakatan)です。
ここで解説していることは、メディカルスタッフ・コメディカルには必須の基礎知識です。いざという時に困らないように、きちんと押さえておきましょう。
この記事の目次
【ゲーム障害とは?】

ゲーム障害とは?
いまやなりたい職業ランキングでも上位にあがる、e-スポーツ。
デジタル社会となった現代において、新たな依存症が広がりつつあります。
中学・高校生のネット依存が疑われる者の割合が、2012年の7.9%から2017年の14.2%へと2倍近く変化している。(参照:厚労科研報告書、2019年)。おそらく、2021年になり、中学・高校生のネット依存が疑われる者の割合は増加していることでしょう。
ゲームについては、以前主流であったオフラインゲームから現代の主流であるオンラインゲームをする者の割合が高まっています。
また、ゲームのジャンルについては、男女により異なっています。
男の子はアクションやRPG、シューティングゲームなどです。一方、女の子はパズルや音楽・リズム系のゲームをする傾向があります。
では、ゲーム障害の話をする前に、まず、「依存(嗜癖、Addiction)」についてお話します。
「依存」とは、快感、多幸感、ワクワク感などを追い求める行動がエスカレートし、やがてその行動のコントロールができなくなる状態。その行動の行き過ぎに起因する、健康問題、家族・社会的問題等をともなうものとなります。
ゲーム障害は、ギャンブル依存、ポルノ依存、窃盗症などの行動嗜癖の一つであり、インターネット依存、いわゆるネット依存です。
WHO(世界保健機関)がICD-11 (2019年)で認定しており、2022年に使用するとされています。
ちなみに、今回、ネット依存関連のアプリ依存(SNS依存含む)はエビデンス(証拠)不足により疾病化はされませんでした。
さて、前置きが長くなりましたが、ゲーム障害とは、
ゲームに熱中し、利用時間を管理できなくなり、日常生活に支障をきたす病気です。
《診断基準》
※全該当で12か月以上続く場合(重症は12か月未満でも診断可)
- ゲームする時間を管理できない
- 他の生活上の関心事や日常の活動よりゲームを優先する
- 問題が起きているがゲームを続ける
- 個人、家族、社会、教育、仕事などの日常生活に著しく支障をきたしている
ちなみに、DSM-5(精神障害の診断と統計マニュアル第5版、2013年5月発表)では、インターネットゲーム障害という診断基準があります。
【ゲーム依存の脳内変化]

続いて、ゲーム依存の脳内変化についてです。
ゲーム依存・障害に陥ると以下の脳内変化が生じます。
- 前頭前野(理性の脳)の機能障害
- ゲームに対する過剰な脳内の反応
- ゲーム報酬に対する低反応(報酬欠乏状態)
- ゲームの勝ちに高反応、負けに低反応
など、あくまでも主要な脳内変化ですがこのような変化が現れます。
また、WHOガイドライン(2019.4)では、以下の各項目で手引きがなされています。
《身体活動》
- 1歳未満:1日数回
- 1歳以上:1日3h以上
《ゲーム・スマホなど》
- 2歳未満:なし
- 2歳~4歳:1時間未満
《本の読み聞かせ》
- 推奨
【ゲーム障害の症状】

次に、ゲーム障害の症状についてです。以下の主症状があります。
1.食事・睡眠がおろそかになる
2.朝、起きられない
3.昼夜逆転
4.欠席・遅刻
5.モノにあたる
6.ひきこもり
7.注意されると人格が変わる
8.周囲への暴言・暴力離脱症状 など
また、ゲーム障害に陥ると、精神障害を合併しやすいと言われています。
- 自殺のリスク
- ADHD
- 大うつ病
- 広場恐怖
- 強迫性障害
- パニック障害
- 躁エピソード
- 適応障害
- 全般性不安障害 など
【ゲーム障害の治療】

最後に、ゲーム障害の治療についてです。
薬物療法と心理社会的治療が大きくあります。
薬物療法では、ブプロピオン、ナルトレキソン、メチルフェニデートなどがあげられます。
また、心理社会的治療では、認知行動療法、心理教育的プログラム、家族治療、集団カウンセリング、新アイデンティティプログラム、デイケア・キャンプなどがあげられます。
デイケアやキャンプなどではみんなでバドミントンをしたりと集団で運動をするプログラムもあります。
いずれにしても、ゲーム障害を含めたネット依存は論文などでの研究が進んでいないため、治療や脳内変化などについては今後大きく結果が変わる可能性もあります。知っておくべきことは、周囲が本人のネット使用を管理しようとしても難しいということ。本人の承認欲求を認め、自己肯定感を向上させることが根底にあるということです。
《予防策》
- ゲーム・スマホの使用開始を遅らせる
- ゲーム・スマホの使用時間を少なくさせる
- ゲーム・スマホを全く使用しない時間を作る
- 家族が見本を示す
- 日常生活を豊かにする などがあります。
メディカルスタッフなら知っておきたい【ゲーム障害】のこと|医療系ブログ|えまかたん[まとめ]
以上、メディカルスタッフ・コメディカルが押さえておきたい「ゲーム障害」の基礎知識でした。
どうでしょう?疑問は解決できたでしょうか?
ざっくり疾患について知ることができたと思います。
これで、一つ疾患に詳しくなりました!
コツコツと学んで、ほかのスタッフと差をつけましょう。
もっと詳しく知りたいという方は、以下も確認しておくと良いでしょう。