「嗅覚障害」について、きちんと理解できていますか?
聞いたことはあるけど・・・詳しく知らないんだよね・・・
そんな方に向けて、いま押さえておきたい知識を図解でまとめました。
「副鼻腔炎」についてもざっくり解説していきます。
この記事では、次の疑問等を解説しています。
- 嗅覚障害とは?
- 味覚障害を放置すると危険?
- 味覚障害に隠れた病気とは?
- 味覚障害を予防するトレーニングとは?

こんにちは!
えまかたん(@_emakatan)です。
ここで解説していることは、メディカルスタッフ・コメディカルには必須の基礎知識です。いざという時に困らないように、きちんと押さえておきましょう。
- 1 【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解[嗅覚障害について|ICD10コード:R43 嗅覚障害及び味覚障害]
- 2 【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解[放置、進行すると、嗅細胞、カレー]
- 3 【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解[コロナ、病気の徴候、副鼻腔炎、好酸球性、蓄膿症]
- 4 【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解[嗅覚トレーニング、基準嗅力検査、]
- 5 【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解[まとめ]
この記事の目次
【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解
[嗅覚障害について|ICD10コード:R43 嗅覚障害及び味覚障害]

五感のひとつである嗅覚。嗅覚は目に見えない危険から身を守る感覚と言えます。
また、嗅覚は味覚と密接に結びついており、舌の味蕾(みらい)は味を識別し、鼻の神経は匂いをかぎ分けます。
では、「嗅覚障害」とは何か?
それは、何らかの原因で、においを正常に感じることができない状態のことを指します。
嗅覚障害の原因としては、認知症、運動機能の低下、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)、病気など様々あげられます。
そして、嗅覚や味覚の障害で最も多いのは、嗅覚が部分的になくなる「嗅覚低下」と、嗅覚が完全になくなる「嗅覚脱失」と言われています。
風味の識別は主に嗅覚に基づいているため、多くの場合、食べものが味気なく感じられるようになって初めて嗅覚の低下に気づきます。
嗅覚が低下するのは多くが65歳以上であり、そこから緩やかに進行していくため、自身では気づきにくい傾向があります。
【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解
[放置、進行すると、嗅細胞、カレー]

嗅覚障害が進行すると、目に見えない危険に身をさらす可能性が高くなります。
例えば、食べ物が腐った臭いに気づかず食中毒になること、ガス漏れのにおい、火の元で焦げた・煙の臭いに気づかずに火災に巻き込まれること、濃い味付けに気づかず知らず知らずのうちに塩分を多くとってしまうこと、食事の風味が損なわれ、おいしさを感じづらくなり、食への関心が低下すること、食への関心が低下することで活動性なども低下し、サルコペニアにつながることなどがあげられます。このように、味覚障害を放っておくと危険な状況に陥ってしまいます。
なお、人はにおいを、鼻腔の頭頂部にある、イソギンチャク様の嗅細胞で分子をキャッチします。
におい分子の大きさは様々であり、同じように嗅細胞も応対するように様々あります。
キャッチした感覚は脳へと伝達され、脳が味覚から得られた情報と統合することにより、風味として認識し、味わうことができます。
また、塩味、苦味、甘味、酸味など一部の味覚は、嗅覚がなくても認識できます。ただ、例えばラズベリーのような複雑な風味を味わうには、味覚と嗅覚の両方が認識される必要があります。
そして、嗅覚障害を疑った際には、カレーのにおいを嗅ぐことで、嗅覚の状態を知ることができます。
誰しも、鼻につんとくる香辛料が入ったカレーのにおいは、記憶に残っていることでしょう。
スパイス・香辛料がたくさん入ったカレーは、その組み合わせにより、においが変化することもあり、においに関しては複雑です。カレーは手軽に用意することができる上、バロメーターとして機能する食べ物と言えます。また、後述するトレーニングにおいても活用できるでしょう。
【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解
[コロナ、病気の徴候、副鼻腔炎、好酸球性、蓄膿症]

嗅覚障害の原因としては前述したとおりですが、いくつかの病気が関係しているかもしれません。
主な病気で大分すると、①鼻の病気、②ウイルスになります。
①鼻の病気でも特に多いのが、副鼻腔炎です。副鼻腔炎とは、最近やウイルスが感染して、副鼻腔の粘膜が炎症したものを指します。
では、副鼻腔とは何かというと、鼻を中心・鼻腔の周りには4つの空洞があり、この空洞のことを副鼻腔と言います。
なお、副鼻腔炎には、風邪(感冒)等による急性副鼻腔炎、慢性的な炎症で膿を伴う慢性副鼻腔炎があります。また、慢性副鼻腔炎は巷では蓄膿症とも言われています。
さらに、白血球の一種である好酸球が炎症部位に過剰に集まる、好酸球性副鼻腔炎と言われるものも近年増えてきています。好酸球性副鼻腔炎では、嗅細胞が集まる鼻腔の頭頂部にキノコ様の鼻茸ができることが特徴です。
このほか、アレルギー性鼻炎や鼻づまりにより、副鼻腔炎となり得ます。
一方、②ウイルスが鼻腔内の嗅細胞を破壊することで嗅覚障害となることがあります。
現在、新型コロナウイルス感染症(COVID-19) の症状として、罹患者の半数は、初期に突然嗅覚障害が出現することがあると言われています。
また、風邪(感冒)では鼻汁や鼻づまりが出現することが多いですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は鼻汁・鼻づまりがないことが多いのが特徴と言われています。
三輪高喜・金沢医大教授の研究班がまとめた最終報告によると、入院中か、宿泊施設で療養中の無症状~中等症の陽性者251人のうち、味覚と嗅覚の両方の障害を自覚していたのは37%だった。嗅覚障害だけは20%、味覚障害だけは4%。味覚障害を自覚した人の多くは検査で正常値だったという。研究班は「味覚障害の多くは嗅覚障害に伴う風味障害の可能性が高い」とした。また、1カ月後には6割超のケースで症状が消えた。
厚労省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合(R3/6/16)
なお、一度破壊された嗅細胞は、すぐに元に戻ることはなく、数か月、人によっては1年以上経ってから嗅覚が元に戻る場合があります。
嗅覚障害の根本的な治療はないため、自然治癒を待ちます。
【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解
[嗅覚トレーニング、基準嗅力検査、]

数か月以上自然治癒しない場合には、嗅覚トレーニングをすることが望まれます。
嗅覚トレーニングとは、においの種別は何でも構いませんが、意識をして、においを嗅ぐ訓練になります。
破壊された嗅細胞の再生には時間がかかりので、自然治癒の時間もかかります。ただ、嗅覚トレーニングにより、嗅覚の低下を緩やかにすることが期待できます。
ちなみに、味覚障害の場合は、亜鉛を摂取することで改善される場合があります。
また、嗅覚低下の程度を調べる検査として、基準嗅力検査があります。この基準嗅力検査とは、においが5種類、においの濃度が8段階ある、におい付きのろ紙を薄い濃度から順番に嗅いでいき、どこでにおいを感じたかを調べる検査となります。
そして、嗅覚障害を疑った場合に受診する診療科は、耳鼻咽喉科となります。ただ、現在、発熱や呼吸器症状なども伴うようなら、より新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の可能性が考えられるので、地方公共団体ごとの患者相談センターや保健所に受診について相談すると良いでしょう。
相談しない場合であっても、医療機関により、方針が異なるため、訪院して受診できないということがないように、事前に医療機関に相談する必要はあります。
【嗅覚障害とは】(きゅうかくしょうがい、Smell disorder)|症状、治療方法、薬等ざっくり解説|図解
[まとめ]
以上、いま押さえておきたい「嗅覚障害」の基礎知識でした。
どうでしょう、疑問は解決できたでしょうか?
もっと詳しく知りたいという方は、以下も確認しておくと良いでしょう。
- 日本耳鼻咽喉科学会http://www.jibika.or.jp/index.html
- 厚労省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合
- 日経メディカル
- JAMA Otolaryngology-Head Neck Surgery
- 厚労省に助言する専門家組織「アドバイザリーボード」の会合報告
- MSDマニュアル